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掲載:2005年9月 更新:2020年4月
航空会社が経営はたん=マイレージも危ない?
※このコラムでは、航空会社の経営破綻とマイレージの関係について解説しています。
目次
民事再生法を申請=航空会社が潰れるではない
基本マイレージに直接的な影響はない
アンセットオーストラリア航空のマイルは無効に
ANA/JALマイルは保護される可能性が高い
小規模・中規模エアラインは、倒産する可能性も高くなる
マイルは貯め過ぎず使い切るのがベスト
「民事再生法を申請=航空会社が潰れる」ではない
過去の例になりますが、2005年9月中旬に
・デルタ航空
・ノースウェスト航空
の2社が、同日に経営破たんを発表しました。具体的に言うと、連邦破産法11条を申請したことになります。
このアメリカの連邦破産法11条は、日本で言う
「民事再生法」
と同じ内容になります。
民事再生法が適用されると、その会社は完全に潰れるのではなく、政府などから支援を受けて経営を立て直していきます。今回のアメリカの連邦破産法11条も、経営が悪化している2社を建て直すために適用されたということになります。
「破たん」という言葉を聞くと、やはり心配なのがマイルへの影響です。実際にはどのように影響してくるのでしょうか。
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マイルに直接的な影響はない=基本は継続される
2005年、デルタ航空とノースウエスト航空に連邦破産法11条が適用された後も、特別な変更もなく通常に運航が行われます。そして、
皆さんが気になるマイレージプログラムも通常に維持されます
。なので、マイルがなくなるという事態も起こらないので一安心です。
実際に、ユナイテッド航空は2002年に、この破産法11条に申請しています。そして、現在(2005年9月時点では)もこの破産法下で経営再建中です。
では、マイレージはどうでしょうか。破産法を申請した後も、ユナイテッド航空のマイレージプログラム・マイレージプラスは通常通りに維持されています。「貯めたマイルが急に無効になった」ということも起こっていません。
それでは、
「マイルについては一切心配しなくて大丈夫」かと言うと、必ずしもそうではありません
。
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アンセットオーストラリア航空のマイルは完全に無効に
世界最大級の航空連合・
スターアライアンス
に以前、アンセットオーストラリア航空という航空会社が加盟していました。ANAも同社とコードシェアをしていました。
このアンセットオーストラリア航空、実は2001年に倒産しました。同時に、
同社のマイレージプログラム会員が貯めていたマイルも、全て無効になってしまいました
。
スターアライアンスに加盟していて、マイルが貯めやすかったため、かなりのマイルが口座にあった会員もいたようです。
それじゃ、
「デルタやノースウェストもこのアンセットオーストラリアのようになっちゃうの?」
かと言うと、答えは誰もわかりません。
破産法適用後に経営が徐々に回復していけば、通常の状態に戻りますし、もし経営が極端に悪化し続ければ、航空会社が完全に倒産し、マイルも無くなるという事態が起こるかもしれません。
実際に、デルタ航空はその後、政府などから支援を受けて経営を立て直しています。そしてデルタ航空のマイレージも継続されています。
JALが2010年に法的整理をすることで、経営を立て直して、マイレージも維持されたケース
と同様と言えます。
ちなみに、同じオーストラリアの
ヴァージンオーストラリア航空が、2020年4月中旬に民事再生法を申請したばかりですが
、同社の場合、
今のところマイレージが保護されるかは微妙な状態です
。
なぜなら、実はヴァージンオーストラリア航空のマイレージプログラム「Velocity」は別会社化されていて、別会社が運営しており、ヴァージンオーストラリア航空の民事再生法が、マイレージの運営会社まで適用されない可能性が高いからです。
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ANAとJALのマイレージは保護される可能性が高い
このコラムをお読みの方は、おそらく
「海外の航空会社のマイレージより、そもそもANAとJALのマイルは大丈夫なのか?」
と心配されている方が多いのではないでしょうか?
当サイトでは100%保証はできませんが、
ANA/JALのマイルは大丈夫である可能性が高いです
。
詳細は、
「
JALが法的整理しても、JALマイレージが廃止されない(されなかった)4つの理由
」
「
ANAが倒産してANAマイルが紙くずになる可能性が低い4つの理由
」
の2つのコラムをご参照ください。
小規模・中規模エアラインは、倒産する可能性が高くなる
ANA、デルタ航空など、各国のフラッグキャリアや大手航空会社だと、基本的には
民事再生法(国により名称は異なる)を申請
↓
航空会社は運航を継続し、マイレージも保護される
というパターンが多いです。
上記で触れているJALの法的整理、デルタ航空などの経営破産法申請などです。
フラッグキャリア、またはフラッグキャリア相当の航空会社は、無くなった場合の影響が大きすぎるため、国は破産させずに法的整理などで経営を維持させるわけです。
しかし、小規模・中規模の航空会社なら話は別です。
小規模・中規模の航空会社では、
実際に破産してしまい、マイレージも紙くずになってしまったケースが発生しています
。
最近のケースですと
・2019年破産のアドリア航空
・2017年破産のエアベルリン
があります。
両社とも破産(倒産)してしまい、
倒産後のマイルは無効になっています
。
アドリア航空は小規模エアラインなのでまだしも、エアベルリンは中規模エアラインだったので、倒産にびっくりされた方もいるかもしれません。
ちなみに、アドリア航空はスターアライアンス、エアベルリンはワンワールドと、それぞれアライアンスに加盟していましたが、支援する価値がないと判断されると、同じアライアンス加盟の航空会社からの支援はないのが現実のようです。
実は、マイレージに詳しい方ほど、海外の小規模・中規模航空会社のマイレージプログラムを活用している人が多くなります。
例えば、スターアライアンスでは、ギリシャのエーゲ航空のマイレージをうまく活用されている上級マイラーもいます。ただし、
エーゲ航空のような中規模エアラインは、急に倒産してマイルも紙くずになる可能性もあるので、多くのマイルが貯まっている方は要注意です
。
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マイルは貯め過ぎず、計画的に使うのが大事
以上、
「ANA、JAL、デルタ航空などの大手航空会社は、過去のケースからも、再建されてマイレージも保護される可能性が高い」
「小規模・中規模の航空会社は、倒産してマイレージも紙くずになる可能性がある」
の2点をお伝えしました。
ANAとJALはマイルの有効期限があるので、半強制的にマイルを使う必要があります。
しかし、デルタ航空、ユナイテッド航空、アメリカン航空、エールフランス航空など、有効期限がない・または延長できるタイプのマイレージは、マイルを貯め過ぎず計画的に使うことも大事なります。
将来、航空会社が民事再生法を申請してマイレージが保護されたとしても、マイルでタダ乗りする乗客を減らすために、予告なしに必要マイル数を大幅に引き上げる可能性もあります。
マイレージには銀行預金のように保護してくれる法律もないので、数十万マイルも貯まっているのであれば、できるだけ早く使ってしまうのがベストです。
貯めることだけに拘らず、「ある程度貯まったら使う」を繰り返していれば、万が一航空会社が倒産しても、「一気に数十万マイルが無効になってしまった」という悲劇も避けれます。
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