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掲載:2010年1月 更新:2020年6月
JALマイレージが(コロナで)法的整理しても廃止されない4つの理由
※このコラムでは、JALの法的整理とマイレージの関係について解説しています。
目次
法的整理してもマイレージは基本大丈夫
理由1:
法的整理は事業を継続するため。運航やサービスも維持される
理由2:
過去に法的整理した航空会社では、マイレージは大丈夫だった
理由3:
マイレージが廃止されれば、大きな顧客離れにつながる
理由4:
実はマイレージは貴重な収入源
小規模・中規模エアラインだと、破産でマイレージが紙くずになるケースも
まとめ
JALが法的整理してもマイレージは基本大丈夫
みなさん御存じの通り、2010年早々から、JAL騒動関連のニュースがたくさん報道されています。
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追記:2020年6月
そして2020年からは、新型コロナウィルスの影響で、国際線・国内線共に大幅に欠航が続いていて、ANA同様、JALの業績も悪化しています。
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そして特にマイレージ繋がりとして、
「JALのマイレージは大丈夫なのか?」
という不安もあるかと思います。
当サイトのアンケート「
JALマイレージは廃止されると思う?
」によると、実際に9割の方は大丈夫であると考えています。
そして遂に、2010年1月8日(金)に、
「
政府はJALを法的整理によって経営再建することを決めた
」
と報道されました。テレビでも大々的に報道されました。
そして肝心なマイレージですが、
「マイレージプログラムは保護される」
とも報道されています。これで安心している方も多いのではないでしょうか。
しかし、ネット上のブログやツイッター等のコメントを見てみると、
「実はマイレージは無効になると思う」
「JALのマイレージは廃止されるから使ってしまおう」
という意見が多いのも事実です。
ただ、何となく「廃止されるから使ってしまおう」ではなく、色々な視点を参考にすることも大事です。
そこで、このコラムでは、
「JALが法的整理をしても、JALマイレージはまず大丈夫である4つの理由」
を考えてみたいと思います。
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追記:2020年6月
実際に2010年にJALは法的整理されましたが、運航やJALマイレージバンクは通常通り継続されました。
しかし今度は、新型コロナウィルスのせいで業績が悪化しているJALですが、コロナを理由に倒産危機に陥っても、「基本は法的整理されて、JALマイルは保護されるであろう」という考えで、以下お読みいただければ幸いです。
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理由1:
法的整理は事業を継続するためのもの。運航やサービスも維持される
「法的整理」=「破産」というイメージもありますが、法的整理と破産は全く別のものになります。
破産は、会社が潰れてしまって、もうそのまま無くなったままになってしまいます。
しかし、法的整理であれば、JALは潰れてしまうのではなく、
「JALの航空会社としての事業を引き継ぐ会社が新しくできる」ということなので、法的整理の後も、通常に運航はされますし、マイレージプログラムもそのまま継続される可能性が高くなります
。
今まで大きく報道されてきたのは、JALは「法的整理」「私的整理」のどちらになるかということで、
「法的整理」「破産」のどちらになるのかではないので、ここを勘違いしてはいけません
。
法的整理をした後は、経営を建て直していく努力がたくさん行われるので、赤字の路線は多数廃止されるかもしれませんし、大きなリストラも行われるかもしれませんし、マイレージもJALが有利になるように変更されるかもしれません。
しかし、
「法的整理をしても、JALマイレージバンクはそのまま続けられる」
と考えてまず大丈夫かと思います。
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理由2:
過去に法的整理した航空会社では、マイレージは大丈夫だった
実際に過去にアメリカでは、ユナイテッド航空、デルタ航空、ノースウエスト航空が法的整理(経営破たん法の申請)をしました。
当サイトの以前のコラム「
経営破たん=マイレージもあぶない?
」でも触れましたが、
航空会社が法的整理を受けてから、しばらく再建されていた間も、各航空会社のマイレージプログラムは何もなかったように継続されました
。
なので、
基本的に「法的整理」=「マイレージは大丈夫」と考えて大丈夫かと思います
。
ちなみに、「過去にアンセットオーストラリア航空やアロハ航空が潰れた時は、マイレージが全て無くなってしまったじゃないか」と思われるかもしれません。
しかし、
この2つの航空会社では法的整理がされず、上で述べた「破産」になってしまったため、マイレージも継続されなかったことになります
。
そこで、「もしJALも法的整理されず、破産になったら?」と心配されるかもしれませんが、上述の通り、JALは「法的整理」される方向に進んでいるので、今回のJALに「破産」は関係ないことになります。
また、
JALは(2010年時点では)アジアで最大の航空会社であり、アメリカン航空とデルタ航空による争奪戦からも、JALは存在力のある航空会社であることがわかります
。
日本政府も、数千億円という膨大な融資をしてでもJALを維持させようとしているわけですから、やはり破産の心配はほぼ無用です
。
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追記:2020年6月
実際にJALは、傲慢経営にも関わらず2010年に法的整理されたので、今回の新型コロナウィルスという天災で破綻危機に陥ったとしても、法的整理の対象になると考えられます
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理由3:
マイレージが廃止されれば、大きな顧客離れにつながる
航空会社を選ぶ理由には「運賃」「機内サービス」「安全性」「スケジュール」などがありますが、特に現在は「マイレージ」も大きな理由の1つになっています。
「せっかくJALのマイルを貯めているから次の旅行もJALにしよう」という感じで、マイレージはマーケティング的にも貢献しています。
なのにマイレージプログラムを廃止してしまえば、マイレージを理由に、JALが選ばれなくなってしまうリスクがあります。
既に1,000万人以上いるJALマイレージ会員も、
もしマイルが廃止されれば、JALに対する信頼が無くなってしまい、JALから離れていく可能性が高くなります
。
また、
JALがマイレージのサービスをなくしてしまうと、大勢の人がライバルであるANAへ移ることも予想でき、これはJALにとって大問題になります
。
JALは航空会社としても、
マイレージプログラムを廃止した場合の大きなリスクは十分に理解しているので、まずマイレージが廃止される可能性はほぼゼロと考えて大丈夫かと思います
。
理由4:
実はマイレージは貴重な収入源
なんとなく、
「マイレージプログラムがあるせいで、大勢の人がタダで飛んでいるわけだから、マイレージプログラムはJALの赤字に拍車をかけているのでは?」
と思われるかもしれません。
実はそれは正反対で、
「マイレージプログラムは航空会社にとって、貴重な収入源の1つである」
と言えます。
例えば、1つのフライトを例に見てみます。
300人乗りのフライトがあり、そのうち280人がお金を払って航空券を買った乗客とします。
20席余ることになるので、その20席を特典航空券用に回せば、20人はマイルを使って特典航空券で乗れることになります。
「本来その20人も有償航空券で乗れば利益がもっとでるのに、特典航空券で乗せてしまうから赤字になるのでは?」
と一瞬思ってしまうかもしれません。
しかし、航空会社の思い通りに行くわけではなく、繁忙期などを除き、フライトが満席になることはあまりありません。
そして、
300人乗りの飛行機に300人乗ろうが280人乗ろうが、航空会社側の経費はそんなに変わらないのです
。
300人だろうが280人だろうが、パイロットや客室乗務員は同じ人数必要ですし、燃料費もそんなに変わりません。増えるコストは機内食やドリンク類ぐらいで、コストもそんなに高くないと言われています。
つまり、
特典航空券で客をタダ乗りさせても、航空会社側は、ほとんどコストが増えないことになります
。
続いて視点を変えてみて、マイレージプログラムはどうやって利益を得ているのでしょうか。
例えば、現在多くのマイレージ会員が、dポイント、Tポイント、Gポイント、ネットマイルなど、様々な提携ポイントを貯めているかと思います。
実はこの各ポイント、航空会社にとっては大事な収入源になっているのです
。
例えば、ドコモのポイントであるdポイントはJALマイルへ交換できますが、これは
「dポイントをJALマイルへ交換する際、ドコモ側がJALからマイルを買い取って、dポイント会員にJALマイルを渡している」
ことになります。
つまり、
大勢のdポイント会員がdポイントをJALマイルへ交換する度に、JALはドコモにマイルを売って儲けていることになります
。
マイルの販売価格は1マイル数円と言われていますが、毎日大勢の人が提携ポイントをマイルへ交換しているので、それだけでもかなりの収入になることがわかります。
ここでは、例としてdポイントを挙げましたが、
同じような形式でJALは多数の会社と提携しているので、その分収入も結構あることが予想できます
。
このように、
「JALは多数の提携会社にマイルを売って儲けているのに対し、実際に特典航空券で乗客を乗せる時は、コスト負担が少ないことを考えると、マイレージは立派な収入源であること」
が見えてくるかと思います。
ここで述べた例は簡単に表したもので、マイレージプログラムの運営はもっと複雑なものになりますが、
それでも大まかな構造からすれば、マイレージプログラムは航空会社にお金が入る仕組みになっているのは明らかです
。
せっかく立派な収入源であるマイレージプログラムを、JALが簡単に廃止するでしょうか。
マイレージプログラムを廃止してしまえば、
「大事な収入源を失う」「顧客が離れていく」のダブルパンチになってしまうわけですから、そう簡単に廃止はされないと考えられます
。
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小規模・中規模エアラインだと、破産=マイレージが紙くずになるケースもある
上記の解説は、JALのような、国を代表するフラッグキャリア並みの航空会社の場合です。
フラッグキャリアは無くなった場合の影響が大きすぎるため、国は破産させずに法的整理などで経営を維持させるわけです。
JALだけでなく、アメリカのユナイテッド航空や旧ノースウエスト航空などでも同じです。
しかし、小規模・中規模の航空会社なら話は別です。
小規模・中規模の航空会社では、
実際に破産してしまい、マイレージも紙くずになってしまったケースが発生しています
。
最近のケースですと
・2019年破産のアドリア航空
・2017年破産のエアベルリン
があります。
両社とも破産(倒産)してしまい、
倒産後のマイルは無効になっています
。
アドリア航空は小規模エアラインなのでまだしも、エアベルリンは中規模エアラインだったので、倒産にびっくりされた方もいるかもしれません。
ちなみに、アドリア航空はスターアライアンス、エアベルリンはワンワールドと、それぞれアライアンスに加盟していましたが、支援する価値がないと判断されると、同じアライアンス加盟の航空会社からの支援はないのが現実のようです。
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まとめ
以上、JALが(新型コロナウィルスのせいで)法的整理しても、マイレージがまず大丈夫である4つの理由を挙げてみましたが、これを読んだ後、何となくあった不安がなくなってもらえれば幸いです。
しかし、
このコラムはJALマイレージが保護されることを100%保証するのではなく、まず大丈夫であろう理由を伝えることを目的にしていますので、その点はご留意願います
。
当コラムをまとめると
1
「法的整理は運航・サービスを継続するためのもの」
2
「過去に法的整理されてもマイレージは大丈夫だった」
3
「廃止すれば顧客離れに繋がる」
4
「マイレージは貴重な収入源」
と、JALマイレージの廃止は考えにくい4つの理由を述べさせていただきました。
ただし時には
5
「小規模・中規模の航空会社なら、倒産してマイレージが紙くずになるケースもある」
ことも覚えておく必要があります。
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